導入事例

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粒子法流体解析ソフト「Particleworks」導入事例
株式会社小松製作所 様

「建機を動かすコア部品に適用、見えない現象の可視化で今や欠かせない存在に」
株式会社小松製作所
開発本部 パワートレイン開発センタ ファイナル開発グループ
原口 靖司 氏
グローバルに展開する建設・鉱山機械メーカーの株式会社小松製作所(以下、コマツ)。同社では全社的に構造計画研究所(KKE)の粒子法流体解析ソフトウェア「Particleworks」を活用している。なかでもショベルカーのファイナルドライブ(終減速機)やスイングマシナリーなどを開発するグループでは、製品の開発にParticleworksを活用し、コストダウンやより高性能な製品の開発に役立てている。

内部が見えないファイナルドライブで活用

はじめに原口様が所属するファイナル開発グループについて教えてください。

ファイナル開発グループでは、ショベルカーやブルドーザーなどのクローラ式建機に搭載される、走行用のファイナルドライブの設計および研究開発を行っています。

建機の走行には非常に大きなトルクが必要となるため、内部には複数の遊星歯車を用いた多段減速機構を採用し、荷重を分散しながら高い減速比と耐久性を実現しています。ファイナルドライブ内部は油で満たされており、この油の飛散や潤滑状態などについて知るためにParticleworksを活用しています。

また、ショベルカーの旋回機構であるスイングマシナリーおよびスイングサークルのような、歯車を扱う装置の設計や研究開発も行っています。例えば次世代のハイブリッド油圧ショベルなどにParticleworks の解析結果が活かされています。

Particleworksを導入されたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

導入は10年以上前で、私はまだ入社していませんでしたが、スイングマシナリーの検油管周辺の油の流れを知るために導入したということです。スイングマシナリーには、潤滑油の量などを確認するための検油管が上に延びる形でついています。当時、スイングマシナリーのテスト中にこの検油管から油が昇って吹き出してしまうという問題が発生しました。原因を突き止めようとしましたが、スイングマシナリーの内部を直接見ることはできません。そこで、Particleworksを使って解析を行い、流れを確認することで対策を行いました。

最近の Particleworksの適用事例と、その効果を教えていただけますか。

さらなるモータの高速化研究の中で、スイングマシナリー内部の回転中心に入っているボールが破損してしまうという問題が発生していました。これもやはり内部で起きていることなので、原因を実験的に特定することが容易ではありません。そこでParticleworksで解析を行ったところ、油が外周寄りでは下向きに、2段目キャリアの中央付近では上向きに流れるという循環が発生していることが分かりました(図1)。この力によって1段目キャリアが油に押され、その上のボールが押されて摩滅していました。この結果から、仮説として「圧力を受けている1段目キャリアに対策穴を設けて、力を逃がせば、浮き上がり力を抑えられるのではないか」と考え、効果を検証しました。その結果、浮き上がり力を40%低減してボールの摩滅を防げることが分かりました。(図2、図3)。

Particleworksを採用していなければ、多数の実験と手探りの検討により、コストがかかる方向での対策にならざるを得なかったと思います。そういったコストや時間を削減できるという意味で、Particleworksを活用するメリットは非常に大きいと考えています。

図1 スイングマシナリー内部のオイル流れ

図2 対策後の1段目キャリア

図3 浮き上がり力の推移

 

油面や飛沫のシミュレーションで全社の標準ツールに

御社ではどのような工程で、またどのような頻度でParticleworksを使用されているのでしょうか。

我々のグループでは、ある程度製品の設計が固まった時点で使用しています。実験前にあらかじめシミュレーションしておく場合や、実験をしたら不明な点が出てきたので解析で原因を探るといった使い方が多いですね。どの開発機種であっても、1機種ごとに1、2回は解析を行うことが多いです。

現在は全社で活用しており、多くの設計者がParticleworksを使うことができます。

使い勝手や習得の難易度はいかがでしょうか。

流体解析ツールとしてはかなり使いやすい部類に入ると思います。初めて使う人に対しても特に講習などは実施していません。必要に応じて過去の解析を参考にしたり、KKEに質問したりしながら取り組むというやり方で、充分使いこなすことができています。

コマツではCAEの活用に力を入れており、全社的にCAEをきちんとやろうという文化があります。新入社員の設計者は2年目にCAE研修を兼ねてそれぞれの部署における困りごとを持ち寄り、希望のCAEツールを使いながら課題解決を進めていきます。その結果はコンペ形式で発表されます。毎年、何名かがParticleworksを選択し、KKEにもアドバイスをいただいています。先ほど紹介したスイングマシナリーの例も、私が取り組んでコンペを勝ち抜いたものです。

Particleworksは、改めてどのような点が役に立っていますか。

油面や飛沫のある場面においては欠かせないツールになっていますね。我々のグループだけでなく、全社において標準で使うツールとして高く評価されています。

実験する場合は、油を減らす、または増やすとどうなるかといった結果はわかりますが、実際に内部で何が起きているのかはわかりません。Particleworksを活用することで、内部の様子を可視化することができ、取るべき対策も最小限にとどめることができます。このコストメリットは非常に大きいと感じています。また、その結果はのちの新製品の開発に活かすことができます。

Particleworksは油面や飛沫が得意ということで使い始めましたが、今は紹介した例のように、油面と関係のない対象にも使用しています。

Particleworksのよいところは、操作が直感的で、計算負荷も他のCFDツールと比較して低くなっている点ですね。解析スピードも速く、自社環境では準備から解析まで1日で完了することも可能です。

油面以外への展開も進行中

今後の展望をお聞かせください。

現在は油が主な解析対象ですが、油以外にParticleworksを活用していく取り組みも進めています。そのためにKKEにもいろいろと相談させていただいています。

また従来の油に関する解析においても、Particleworksはより速く、より高度な機能を実現するためのツールとして適用領域を広げています。油は動作の抵抗になるため、少ないほど燃費向上には良いのですが、一方で潤滑を保ち摩擦を減らすためには一定の量が必要です。潤滑と抵抗によるロスとのバランスを考慮して、従来以上のクオリティを実現するために、Particleworksを活用していきたいと考えています。

KKEへの期待をお聞かせください。

現在も困ったことがあれば随時相談していますが、回答をすぐにいただけるので非常に助かっています。

相談内容は単純な操作方法だけではなく、解析における考え方やモデルの作り方などさまざまな面でアドバイスをいただいています。あいまいな話や、こういうことをしたいといったざっくりとした相談でも、こうすれば実現可能であるといったアドバイスをいただいたりするので大変助かっていますね。

当社においてParticleworksの活用の幅はどんどん広がっている状況です。これまで以上にお世話になると思いますが、さらに幅広く手厚いサポートをお願いいたします。

取材日:2026年4月

この事例に関するお問い合わせ

Paticleworks担当
TEL:03-5342-1053
E-mail:sbdseminar@kke.co.jp
Web:https://www.sbd.jp/products/flow/particleworks.html

※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。