ご挨拶

ステークホルダーの皆様とともに、より賢慮に満ちた未来社会を目指して

構造計画研究所は、1956年に服部正により服部正構造計画研究所として創業されました。創業時は個人の構造設計事務所にすぎなかった私たちが、建築全般や自然環境のみならず情報通信や製造業といった分野、さらには人や社会を対象とした意思決定支援などに事業の対象を広げてこられたのには3つの理由があります。

一つは、創業間もなくコンピュータの無限の可能性に取り憑かれ、「地震国日本の構造設計を一変させてみせる」との気概のもと、コンピュータの導入に踏み切ったことです。2004年に、当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリック・ストルターマン氏が、デジタルトランスフォーメーション(DX)について「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義されましたが、当社が導入したころのコンピュータは活用というにはほど遠く、まさに何か神秘的な存在だったと思われます。

二つ目は、今も昔もこのコンピュータに取り憑かれた、あるいはコンピュータを活用して社会課題を解決したいという同じ思いを抱いたさまざまな分野の工学、理学、人文社会学系などのバックグラウンドを持つ所員が参画したことです。

そして最後に、同様の思いを抱き、当社にその機会やアドバイスをくださるお客様や大学・研究機関の皆様に支え続けていただいたことにあります。一例を挙げますと、創業間もないころ、当社は電話局のマイクロ鉄塔の構造設計業務を受託しておりました。その後、携帯電話の実運用の検討が始まったころに、お客様から「コンピュータを活用して鉄塔の力学的なシミュレーションを行うのと同様に、基地局の鉄塔から出る電波がどのように伝搬するのかシミュレーションできないか」といったご相談を受けたのが、当社が電波伝搬解析コンサルティング事業を手掛けるきっかけでした。当たり前ですが建築構造工学と電波工学は全く違う学問領域であり、一から勉強するところから始めないといけません。それでも、このような機会をいただいたのは、真摯に勉強し、最後まであきらめない当社の所員の仕事ぶりと人柄を評価していただいたためだと思います。そしてお客様や大学・研究機関の皆様、パートナー企業の皆様と共に夢を追い続けた結果が、多くの事業展開につながりました。私たちには、新たなチャレンジをする際に「だから構造計画研究所が好きなんだよ」と支えてくださるステークホルダーの皆様がたくさんいらっしゃいます。

人口の減少や地球温暖化などの環境問題をはじめ、現代の社会には解決すべき問題が数多く存在します。私たちは、これからも工学知をベースにした有益な技術を社会に普及させることで、「21世紀の日本を代表する知識集約型企業」を見据え、多様な社会課題の解決に邁進してまいります。そして、「心を以って心に伝える」姿勢を忘れず、ご支援くださるステークホルダーの皆様と真摯に向き合い、より賢慮に満ちた未来社会を共に創出していく所存です。引き続きご支援の程よろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 湯口達夫 代表取締役社長 湯口達夫