導入事例

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構造解析デジタルノート「MystructureNote」導入事例
株式会社大林組 様

構造検討を自由自在に。
設計者の思考の幅を広げ、
より質の高い構造提案を
株式会社大林組
(左から)
設計本部 統括部長 中塚 光一 氏
設計本部 構造設計部 課長 佐藤 朋成 氏
設計本部 構造設計部 赤井 未来 氏
“「地球に優しい」リーディングカンパニー”を企業理念に、「優れた技術による誠実なものづくり」に取り組む大林組。経済産業省、東京証券取引所による「DX銘柄」に選定されるなど、DXも積極的に推進している。設計本部構造設計部門では、構造計画研究所(KKE)の構造解析デジタルノート「MystructureNote」を活用。業務の負荷を軽減し、設計者がコア業務に特化することを可能にしている。

構造設計部250人全員に「MystructureNote」のID を付与

貴社は大手ゼネコンとして国内外のさまざまなビッグプロジェクトに参画し実績を積み重ねています。設計本部も重要な役割を果たしていますね。


中塚 光一 氏

中塚氏: 設計部門はかつて各店所属でバラバラな組織でしたが、現在では「設計本部」として統一体制をとり、全国組織として動いています。設計部には意匠・構造・設備の各部があり、その中で私たちは構造設計を担っています。当部だけでも250名ほどの陣容があります。総合建設会社として、設計から施工、維持保全まで一貫したサービスを提供できることから、クオリティ・スピード・コストに対するニーズを実現しています。

佐藤氏: 北海道日本ハムファイターズのホームスタジアム「エスコンフィールドHOKKAIDO」の建設では、私も構造設計者として現地に常駐し業務にあたりました。天然芝のフィールド、切妻型の可動屋根、巨大なガラス壁などが特徴の、難易度の高いプロジェクトでしたが、まさに当社の総合力で実現しました。工事事務所関係者と常に協議しながら施工性を考慮した設計を行いました。

赤井氏: 私は入社3年目です。ドームやアリーナなど、人が集まる施設の設計に携わりたいと思い、当社に入社しました。1年目は施工現場で研修を受け、2年目から構造設計部に配属になりました。さっそく設計業務に携わることになり、学生時代の学び以上に、幅広く深い知識が求められて、日々勉強中といったところですが、やりがいを感じています。

貴社では構造設計部全体で「MystructureNote」を導入いただいています。その理由はどこにあったのでしょうか。


佐藤 朋成 氏

中塚氏: KKEとはこれまでも付き合いはあったのですが、あるときに「こんなものを作りました」と、「MystructureNote」の存在を教えてもらいました。面白そうなソリューションなので、構造設計各部から人を集め、KKEからプレゼンテーションをしてもらいました。フリーハンドでモデルを描くだけで、すぐに応力図と変形図が表示される様子を全員で目の当たりにして、「こんなソフト今までにない」、「オーダー感をつかむのにもすごくよい」と、驚きました。すぐに活用イメージも湧き、価格もリーズナブルであったことから、半分一目惚れのような感じで、早速導入することにしました。

佐藤氏: 私は日頃からパラメトリックデザインなどにも取り組んでいるのですが、「MystructureNote」ならそれがiPad上で簡単に実施できるということに驚きました。実際に使ってみて、部材を動かしたり条件を変更したりしたときの影響や効果を、瞬時かつ感覚的に把握できる点がとてもよいですね。当社は約250名の構造設計職全員にiPadを貸与しており、全員が「MystructureNote」を使える環境を整えています。利用するかどうかは本人に委ねていますが、新入社員もすぐに面白がっていろいろな解析を実施するなど、思い思いの方法で活用してくれているようです。

赤井氏: 社内導入後、私もある物件の構造設計時に自ら選択して利用し始めました。他にも社内で導入しているソフトウェアは複数ありますが、「MystructureNote」は手軽に応力図などを可視化できる優位性があります。さらには直感的な操作ですぐ使い始められることも利点であり、このようなツールを利用できる環境を整備いただいて嬉しく思います。

設計者の思考の幅を広げ、新しい価値創出へ

実際に「MystructureNote」を活用いただき、どのような成果が生まれていますか。

中塚氏: 一言で言えば、川上業務の効率化とケーススタディの多様化です。これまで「構造解析」というのは基本的には煩雑なもので、例えば一般的な解析ソフトで構造検討を行う場合、座標を一つ一つ手作業で入力したり、その後の変更もそれぞれのパラメータを再設定したりする必要があるなど、手間がかかる場合が多くありました。一方「MystructureNote」では、タッチペンで節点や部材を引っ張るだけで高さやスパン(距離)を変更することができ、その結果がすぐに分かります。作業時間を大幅に削減できるとともに、「別案はないか」という議論になったときに「めんどうだから」「時間がないから」とためらうのではなく、その場で様々な案を検討できます。設計者の思考の幅を広げることが可能になるだけでなく、さらなる追求により新しい価値を創出することもできます。


赤井 未来 氏

佐藤氏: 入札時のパラメトリックデザインもそうですが、雑物やちょっとした構造検討を行う機会も多くあります。それら検討に対して、心理的ハードルが低い形で、ストレスフリーかつ短時間でさまざまなパターンを検討できる点がやはり「MystructureNote」の強みだと思います。そのおかげで業務効率化、構造提案の質向上にも繋がっていることは間違いありません。まだ構造的な提案を行う機会が少ない若手社員にとっても、構造検討の基礎であるモーメント図や変形図のイメージをつかむことができ、スキルアップ観点でも役立ちます。

赤井氏: 私も1年目の現場研修では、手計算で仮設材などの検討を行いました。構造設計部に配属になってから、「MystructureNote」が現場にあればもっと便利だったのにと思いました。設計1年目の時に当時で言う4号建築物(建築確認・検査の対象とならない小規模な建築物)の構造設計を担当し、自ら手を動かして構造検討を行いました。その過程では、「MystructureNote」を利用して先輩や上司に相談しました。モーメント図などが視覚的にすぐ表示されるので報告がしやすく、1ヶ月という短期間でまとめ上げられたのは「MystructureNote」があったおかげだと感じています。1人の設計者として、コンピュータが出した結果を鵜呑みにするのではなく、自分の感覚を確認するためにコンピュータを利用する、ということを心掛けたいと思います。「MystructureNote」はそのために必要な直観力を身に付けるのにとても適したツールだと思います。

「MystructureNote」導入にあたってのKKEのサポートはいかがでしたか。

中塚氏: 導入時から現在の運用まできめ細かくサポートしてくれています。以前は無かった自重機能の追加やiOSアプリ版についても迅速に対応いただくなど、常に私たちの声に真摯に応えていただき、とても満足しています。

佐藤氏: 熱意を持って迅速に対応してくれるので大変満足しています。今年度からは新入社員研修にも導入し始めました。さらに有効に活用していきたいと思います。

 

▲検討プロセスをメモとして記録可能。
「構造解析から資料作成」を同一アプリ上で出来るので資料作成時の手間が省ける
※インタビューを基に構造計画研究所が作成したもので、実際のものとは異なります

 

AI の活用なども含め、KKE のアドバイスや提案に期待

貴社ではDX推進も積極的に進めています。今後、設計本部をどのように進化させていくお考えですか。また、KKEに対する期待もお聞かせください。

佐藤氏: 今後は、ITツールに対する一人一人のリテラシーを向上させることも必要だと考えています。KKEには引き続き、「使いたい」と思えるようなサービスの提供、さらにはその啓もうや普及の方法なども含めて期待をしています。

中塚氏: 少子高齢化の時代になるとともに、働き方改革なども求められています。これは当社のみならず業界全体の課題でもあります。コンピュータが得意なことはコンピュータに任せ、人間にしかできないコア業務に特化することが必要です。AI活用もその一つです。KKEには「MystructureNote」のような構造設計者のスキルに寄り添ったシンプルなものから、複雑高度なものまで、これからも有用なサービスを提供してほしいと思いますし、それを使いこなせる人材を育てていくことが私たちにとっても必要なことだと認識しています。

 

取材日:2025年4月

株式会社大林組について
創業 1892年1月
本社所在地 東京都港区
ホームページ https://www.obayashi.co.jp/

この事例に関するお問い合わせ

Mystructure チーム
TEL:03-5342-1273
E-mail:mystructure-dev@kke.co.jp
Web:https://mystructure-site.kke.co.jp/for/construction-worker-2/

※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
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