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建物検査業務の効率化アプリ「SMIC(SMILE Inspection Cloud)」導入事例ヤマネホールディングス株式会社 様
住宅情報の管理には限界がある
人の情報と住宅情報の蓄積・活用を始めたきっかけを教えてください。
住宅履歴蓄積については、長期優良住宅を商品化する際に、法的要求事項にどう対応するかを相談していた、東京大学・野城先生経由でKKEに依頼したことがきっかけでした。日々たまっていくお客さまの情報(人の情報)と建築後引き渡していった建物の情報(住宅の情報)を、当社の営業活動にさらに活用したいという意図がありました。導入前の情報管理はすべて紙で行っており、引き渡し棟数が少ない段階であれば、紙の台帳を用いた家守(引き渡し後の住宅のメンテナンス)にも対応可能でした。しかし、当社では年間着工棟数がピーク時に200棟ほどとなり、引き渡し後の棟数が増えるにつれ、『いつ建てた』『どこに建てた』『どんな仕様の』『どんなメンテナンスを行ってきた』といった住宅の情報を管理しきれず、またアフターサービスにも対応しきれないという課題が出てきました。そこで、人の情報は営業支援ソフトで管理し、引き渡し後の住宅の情報はSMICで効率的にデータ化を進めることを検討したのです。
検査・点検業務の生産性向上を実現
SMIC導入前後でどのような変化がありましたか?
住宅のメンテナンスは見た目以上に手間暇のかかる作業です。当社では前述のように、長期優良住宅を商品化しており、引き渡し後のメンテナンスも丁寧に実施しています。導入前はデジカメで現場写真を撮り点検箇所を書類で確認したうえで、事務所に戻った後、エクセルに貼り付け報告書を作成し、お客さまに報告するという流れで、ここに時間がかかっていました。
SMICを導入することで、タブレット1つをもってお客さまのもとへ伺い、写真撮影からチェックリスト作成、メンテナンス終了のサイン受け取りまで手軽に行うことができ、報告書作成業務も現場にてボタン1つで行うことが出来るので、生産性向上効果はかなり大きいと思います。SMIC導入前を仮に100とすると、現在は50くらいの時間で点検業務を行うことができるようになりました。
また、SMICを使うとこのメンテナンス業務自体もチェックリストに沿って手順通りに実施できるので、業務に慣れていない社員でも点検・報告書の品質をあげることが可能となりました。
お客さまへの定期訪問の際に前回の訪問履歴を確認していくとより満足度が上がるという効果も見られており、訪問時のコミュ二ケーションを取ることもとても楽になりました。こういった検査・点検業務に特化して、住宅の情報を生成できるアプリは、今のところ見たことがありません。
SMIC導入の効果としてどんなことが他に挙げられますか?
メーカー品番などの住宅情報がPDFでペーパレス化されているので、突発的な修理・不具合対応にも迅速に対応可能です。現在、新築の建物は長期優良住宅がほとんどであるため、維持管理には必須となっています。
また、売買の仲介にも利用できる場合があります。当社のお客さまにより売買が行われ、もとの所有者がいなくなった場合にも、住宅とそのメンテナンス情報を新たな所有者に引き渡すことができるようになってきており、今ではこうしたことが可能な地域ビルダーとして、中古住宅の売買価格にも好影響を与えつつあります。
さらに、効果的なサービスを行うことができた事例の一つとして、西日本豪雨災害時に被害にあわれた地域のお客さまの住宅情報を早急に把握し、適切な支援・修繕を提供できたことが挙げられます。
SMICに住宅の仕様やメンテナンス履歴がしっかり蓄積されているため、発災時にも復旧や見積もりを正確かつ迅速に行うことができ、お客さまや地域の皆様に良い信頼関係の中でお任せいただくことができました。また、SMICはクラウドサービスとなっており、信頼関係構築のためにお客さまからもデータベースにアクセスできるよう、お客さまへSMICの費用負担を求めております。
住宅の情報蓄積をお願いした当初のお客さまの反応はいかがでしたか?
最初は、お客さまに対して「なぜクラウドサービスに入らないといけないのか」という説明が必要でした。しかし住宅の情報を格納するSMICとメンテナンスを実施する当社の連携がしっかり出来ており、クラウドサービスを活用することでコミュニケーションの取りやすさやアフターメンテナンスの精度が向上すること、また発災時など、いざというときの対応の早さなどを説明してほぼ100%納得していただいております。
SMIC導入直後は社内での評判はいかがでしたか?
最初は、初めて触るシステムなので使いにくいという意見もありましたが、書類作成を効率化できるといった生産性向上の効果も大きく、一度使ったら元には戻れませんね。
タブレットをあまり触ったことが無い社員でも、すぐに自分のものにして逆にこういう使い方ができるのではと、生産性向上の施策を提案してくるまでにもなりました。
管理者の立場としては、現場にシステムを下ろしていくのが一番大変です。その点、SMICは個々の検査員が現場に出て実際に利用し、使いやすいという意見をあげてくれるので、2、3か月で導入が進みとても助かっています。現場目線でのサービス開発にKKEが注力しているのがよく分かります。
良質な地域ブランドの構築に向けて
蓄積した情報を今後さらにどう利用していきたいでしょうか?
新築だとZEH住宅や長期優良住宅など、構造計算が必要な住宅も増えてきており、住宅の情報蓄積とメンテナンスがより重要になってきます。
お客さまとの情報共有が容易で、コミュニケーションも取りやすくなったので、リフォーム受注だけではなく、お客さま・行政・ヤマネホールディングスが三位一体で地域の住宅の維持を行うことで、良質な地域ブランドの構築にも寄与していきたいと考えています。
SMICに今後何を期待していますか?
お客さまとのコミュニケーションをさらに良くするために、お客さまがより積極的に住宅の現況情報を入力してくれる仕掛けを構築していただけると嬉しいです。
また営業活動にさらに活かしていきたいと思いますので、クラウドの営業管理ツールとの連携や住宅情報の一覧表示をもっと詳しくできるように改良していただければ大変有難いです。
ヤマネホールディングス株式会社について
設立:1951年
本社所在地:広島市
ホームページ:https://www.yamane-m.co.jp/
取材日:2021年11月
この事例に関するお問い合わせ
住環境マーケティング部
TEL:03-5342-1002
E-mail:smic@kke.co.jp