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導入事例
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生産ラインシミュレータ FACTOR/AIM導入事例株式会社ブリヂストン 様
生産管理システムユニットリーダー 藤山幸雄氏
FACTOR/AIM利用目的~生産設備やシステムをシミュレーションする
FACTOR/AIMを使う目的はなんですか
タイヤ部門の生産技術部門では、生産設備やシステム検討のシミュレーションにFACTOR/AIMを活用しています。
私の所属する工場システム技術部では、タイヤ工場の「生産管理システム」や「生産情報見える化システム」を開発しています。その設計にシミュレーションを活用しています。
生産管理システムは「何を」「どれだけ作るのか」を管理するものです。システム設計者は、シミュレーションによって全体の動きを把握し、それを設計に生かすわけです。これによりPDCAのサイクルを速くまわすことができます。
FACTOR/AIMは具体的にはどのように活用しているのですか
主に、実システムを導入する前に仕様の適正化、限界値の見極め、異常時の影響などを検証しています。
実際のシステムでは、異常が発生するような極端な検証はなかなかできません。そこでFACTOR/AIMでシミュレーションして、「どこまでパラメータを変えると異常が起こるか」「故障がどの程度発生すると、生産への影響が甚大になるか」などをあらかじめ調べておきます。
基本的には、担当者が設計の途中で「ここはシミュレータで検証しておこう」と思ったときなどに、自分の判断で活用しています。
FACTOR/AIMのパラメータ設定画面(モデルは一般的なものを使用)
導入してから10年以上経ちますが、新しい使い方などはありますか
最近は、実際のロジックとFACTOR/AIMを連携させる手法を始めました。例えば、人間が動力車を使って中間材料を運搬している工場では、最適な運搬指示を作業者に提供するシステムの検証に、FACTOR/AIMを使っています。
このようなとき従来は、FACTOR/AIMに、現実に稼働しているロジックを抽象化したモデルにして組み込んで、システム全体を検証していました。ですが、ロジックの部分はすでに稼働しているわけですから、それはそのまま生かして、モデル化が必要な部分だけをFACTOR/AIMに組み込んで、実ロジックとFACTOR/AIMを連携させる手法です。
ロジックをモデル化するということは、抽象化すること。つまり実際のものとは異なります。実際のロジックとFACTOR/AIM上のモデルを連携させると、実ロジック部分はモデルの妥当性を考えずに、そのまま検証できます。
ロジックとFACTOR/AIM連携図
担当者個人が必要と感じたときに使うとのことですが、藤山様が特に活用している機能はなんですか
私が昔からやっていたのは、大規模なモデルの中の「注目する部分の数値」をFACTOR/AIMで記録対象に設定し、その連続値をグラフで見たり、数値の変化を取り出して表計算ソフトで分析したりする手法です。FACTOR/AIM上では人や機械といった資源の横に、使用率などの数値が表示されるのですが、随時その数値の変化を記録するわけです。
これによって時間ごとの資源使用率の変化を見ることができます。実際の工場でデータを取っていない部分に関しても数値を把握することが可能なので、何が起こっているかを把握することが容易になります。
FACTOR/AIMのメリット~短時間に多数のシミュレーションが実行可能な手軽さ
FACTOR/AIMを使うメリットをどこに感じていますか
モデル作成の手軽さが一番のFACTOR/AIMの長所だと思います。
「シミュレータを使いたい」と思うのは、答えがなかなか見えないときです。シミュレータは、「この条件ではこういう結果が出る」という作業を繰り返して、答えを探すためのもの。答が見つかるまで何度も繰り返しますが、FACTOR/AIMはパラメータを変えたり条件を変えたりするのが簡単なので、短時間で多く検証できます。
シミュレータはさまざまなタイプがあり、中にはCGを駆使した見栄えの良いソフトもあります。ですが、そういうものはモデル化作業だけでも膨大な時間がかかり、何度も繰り返して検証するにはFACTOR/AIMのような手軽さが必要だと思います。
モデルを作る作業も、小規模のモデルであれば、FACTOR/AIM上の資源を作成しプロセスプラン(工程分析図のようなモノの流れを定義する画面)で組み合わせて行けば、自分で作成できます。
FACTOR/AIMモデル作成例
特に大規模なモデルとなると、手軽なFACTOR/AIMでも時間がかかります。そんなときは私も構造計画研究所にモデル化を依頼しています。
答えがわからないときにすぐにでも使いたいのがシミュレータですから、自分で作るよりも速くモデル化してくれる構造計画研究所を頼っています。こちらの要望も理解して、ポイントを抑えたモデル化をしてくれますし非常に役立っています。
FACTOR/AIMによる大規模モデル例
ちなみに当社でも、プレゼンテーションの際は、CGを多用したシミュレータで直感的なわかりやすさを生かす等、TPOに応じて使い分けをしています。
FACTOR/AIMの評価~何度もシミュレーションすることで、経験値、スキルが身に付く
操作性、使い勝手の評価はいかがですか?
シミュレーションを実行して結果がすぐわかる点、簡単にモデルを変更できる点は良いと思います。
また、最近のバージョンでは、資源の動きを表示するプロセスプランもフロー表示されるようになり、全体の流れが非常に見やすくなりました。工場では、生産工程の中で分岐したり合流したりということがよくあります。それがフロー表示になって、直感的にわかりやすくなりました。
見やすさ、理解しやすさは、後日見直すときも役立ちます。シミュレーションの作業は日常的に行うものではありません。場合によっては1年ぶりに作業することもあります。使っている期間は何度も繰り返すのでスキルがアップするのですが、しばらく使わないと「昔、どうやってモデル化したのだろう」と悩むことも。そんなとき、過去に作ったファイルを開いて確認することも多いのです。
藤山様が、個人の感想として実感しているFACTOR/AIMの利点はなんですか
いくつものパターンを繰り返して答えを探すこと、それがシミュレーションの本質です。現実の世界で実際に人や物を動かして検証するのは難しくても、シミュレーションで「何を変えるとどこが変化するのか」を繰り返し検証すると、だんだん答えが見えてきます。その答えを見つけること、何かに気づくことがシミュレーションでは一番重要なのです。
「現実に行うことが厳しい
現象や動きをシミュレーション
することで、解決の糸口を
見つけることができます」
いろいろなパラメータを入れていくと、意外な結果が出ることもあり、そこで原因を考える作業も設計者にはスキルアップに繋がります。そのように数をこなせば、気づくこともいろいろあります。実際にシステムを作ってうまくいかないケースでも、どこに問題があったのかを速く推定できるようになります。
つまりシミュレーションを何度も繰り返すことで、頭の中に経験値が生まれるのです。
その頭の中の経験値は、どのようなときに役立ちますか
人に説明するときなどに役立ちます。例えば人の動きも想定してシミュレーションしますが、実際に働く人はその通りに動かない場合もあります。「現場では、昔から別のやり方をやっていた」というような場合ですね。そんなときでも「このように動くことで、生産効率がこれだけアップする」などきちんと説明できます。
また何か問題が起こったときなどは、各部署のスタッフが集まって原因を探るための会議を開くことがあります。答えが見えないなかで議論するので、思いつきの意見も飛び出します。そんなときでもシミュレーションをきちんとやっていれば、それをベースに意見が言えます。また人の意見にも「それは答えに近いかもしれない」と補足してあげられることもあるわけです。
今後の期待~グローバルへの対応にシミュレーションを活かす
FACTOR/AIMは設計の現場以外でも使われていますか
人事異動が多いので、この部署でFACTOR/AIMを習得した人が、よその部署に移って活用しているケースもあると思います。何らかの設計に関わっているとシミュレーションが必要になるシーンはときどきありますから。
また、当社ではシミュレーションを扱う社内研修の講座でも、FACTOR/AIMを使っています。それはFACTOR/AIMがもっともシミュレーションの概念、基本的な考え方を身につけるのに向いているからでもあります。
変わった使い方もありますか
生産のシステム開発のためにFACTOR/AIMを使うことが多かったのですが、最近は検査装置、成型機といった単体の装置の設計にもシミュレーションを使うようになりました。
これからの工場運営において、シミュレーションの重要性は高まるでしょうか
当社はグローバル展開を進めており、世界25か国で現在工場を稼働しています。今後も更に迅速に事業を展開するにあたっては標準化がポイントです。一方で地域の特性や製造品種の違いもあり、すべてを標準化してもうまくいきません。では「どこまで標準化すればいいのか」、つまり「本当に抑えなくてはいけない要素は何か」を見極める必要があります。そのとき「何を変えればどういう影響が出るのか」を考える上でシミュレーションは、有効な手段のひとつになると考えています。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
取材日:2012年11月
株式会社ブリヂストンについて
設立 1931年3月
本社所在地 東京都中央区京橋
ホームページ http://www.bridgestone.co.jp
この事例に関するお問い合わせ
建設DX営業部
TEL:03-5342-1122
E-mail:con-dx@kke.co.jp
Web:http://www4.kke.co.jp/FACTORAIM/