デジタルツインを実現する 大規模施設3次元デジタル化ソリューション「NavVis」導入事例
熊本城総合事務所 様

熊本城総合事務所様

熊本市 文化市民局 熊本城総合事務所 建築整備班
主査 城戸秀一氏(中央)、技術参事 江渕正一氏(左)、技術参事 田代純一氏(右)

「『NavVis』を活用して、熊本城天守閣内部の被災状況を3Dマッピングすることで復旧に役立てることができました」

2016年4月に発生した熊本地震により、熊本城は全域的に甚大な被害を受けた。13棟の重要文化財建造物と20棟の復元建造物のすべてが被災。熊本城復旧基本計画では完全復旧は18年後の2038年度になる予定。その中の天守閣の復旧現場でNavVisが使用されている。建築物の復旧作業の中心的役割を担う熊本市文化市民局 熊本城総合事務所 建築整備班 主査・城戸秀一氏と、重要文化財や復元櫓(ふくげんやぐら)の解体、長塀(ながべい)の復旧工事に携わっている江渕正一氏、天守閣の設計・工事監理を担当する田代純一氏にNavVisの導入動機や成果、今後の展望などを語っていただいた。

もくじ
  1. 1. 1960年の天守閣再建がKKEとの縁の始まり
  2. 2. 現場に行かなくても、あたかもその場にいるように確認できる
  3. 3. 天守閣の復旧が完了した時点で、再びNavVisで撮影したい

1960年の天守閣再建がKKEとの縁の始まり

― 熊本城の復旧にNavVisを使うことになった経緯を教えてください。

1960年に熊本城の天守閣を再建した際、当時、設立したばかりの構造計画研究所(以下、KKE)に構造設計を担当していただいたのが、 熊本市とKKEの縁の始まりです。2016年4月の熊本地震の時もKKEの技術者にすぐに来ていただいて、天守閣の被害状況調査として建物内部や杭の調査をしていただきました。その過程で、NavVisというソリューションの利用をご提案いただきました。当時、NavVisのことは全く知らなかったのですが、天守閣内部の被災状況を360度カメラで撮影して、3Dのパノラマ画像および点群として保存、閲覧できるということだったので、今後の復旧に活用できると思い、お願いした次第です。




現場に行かなくても、あたかもその場にいるように確認できる

― NavVisを使ってよかったと思う点を教えてください。

将来的に被災後の状況を正確に記録しておく必要があります。被災直後は1 日に何回も事務所と現場を往復し、天守閣内部の被害状況をカメラで撮影していたのですが、細かい部分まで撮り切れていない箇所がたくさんありました。

そこで、内装撤去工事を始める前の2016年9月に、NavVisで天守閣の中をくまなく撮影していただきました。これが1回目です。その後、内装撤去工事を開始した2017年4月に2回目の撮影をしていただきました。その工事では内装を刷新したのですが、変更しない箇所について、刷新前の内装をNavVisで何度も確認することができました。この点が最も役立ったと感じた点です。さらに、熊本城の被害報告に必要な書類作成時に、被災直後の状況写真を添付しなければならないのですが、この時も全方位360度を閲覧することができるので、非常に役に立ちました。やはり普通のカメラで撮った場合、どうしても一部分を切り取った記録になるのですが、 NavVisはいろいろな場所や角度から360度見られます。情報量としては桁外れに多いので、被害報告においてはNavVisで撮ったデータの方が非常に有効かつ有意義だと感じました。

その意味では、被災前と被災後の状況の比較ができるように、被災前に熊本城の全建造物の内部をNavVisで撮影しておけばよかったと強く思いました。

また、内部を確認したいとき、現場に行くまでもないという場合や、図面ではわかりづらい箇所の写真がないということがよくあります。そのような時、NavVisで撮ったデータがあれば、現場に行くまでもなく、写真を探す必要もなく、PCで操作すれば簡単かつ瞬時に見たい箇所が現場にいる感覚で確認できるのです。さらにそ のデータをコピーして他の資料に貼り付けることもできます。これも非常に助かっている点です。

熊本城撮影時の様子
▲熊本城撮影時の様子

さらに、復旧の際の確認のため、様々な図面や自分たちで撮影した写真を探すのにかなり手間がかかります。NavVisは3Dビュアーに図面などの様々なデータを紐づけられます。その履歴が積み重なると、私たちの手を離れた後も、フロアや壁など目に見える部分だけではなく、床下や天井裏など目に見えない部分まで把握できます。有事の際には見えない部分の把握も必要となるので、建物を管理する意味でも活用の幅は広がると思いました。

NavVisで撮影したデータは関係者間の意識合わせに役立てることもできます。例えば、同じ建造物でも施工会社と設計事務所が違うケースがよくあります。そのような時は施工会社の人が設計事務所の人と写真でやりとりすることも多いのですが、一部分だけを切り取った写真ではどうしても伝わりません。「いや、見たいのは そこじゃない。その裏なんだ」という時、NavVisがあれば、わざわざ現場に写真を撮りに行かなくても、その場でささっとPCやタブレットを操作するだけでピンポイ ントで見たい箇所が見られるので、打ち合わせも非常にしやすくなるのではないかと思いました。


― KKEの対応でよかった点は?

NavVisの3Dビュアーの見方や操作方法など、初めは使い方がわからないところもあったのですが、KKEの担当者に連絡すると丁寧に教えていただけました。

また、天守閣内部の撮影時には崩れて瓦礫だらけの内部を撮影していただきました。KKEの担当者の方には感謝しかありません。


― NavVisの機能や操作性についての改善点があれば教えてください。

建物内部の360度3Dパノラマ画像が簡単に見られるだけではなく、距離が測れたり、3次元デジタルモデル化した施設データに画像を貼り付けて復旧履歴がわかるなど、建築関係で必要な機能は全部備わっていると思います。逆に私たちの方がすべての機能を使いこなせていないと感じます。

強いて言えば1点、天守閣内の3D画像を見る際、ある一部分を拡大することがよくあるのですが、その時の解像度がもう少し高くなればよりわかりやすくなると感じました。

また、櫓という特殊な建物を被災前の状態に忠実に復旧するためには、詳細な部分を確認しなければなりません。解像度が上がれば、それが可能になるので助かります。



天守閣の復旧が完了した時点で、再びNavVisで撮影したい

― 今後の活用の展望について教えてください。

熊本城復旧基本計画に従い、2020年度いっぱいに天守閣の復旧を完了して、2021年春頃に公開する予定です。その復旧が完了した段階でNavVisでもう一度撮影したいと考えています。そうしておけば、天守閣の管理について、PCやタブレット上で打ち合わせが出来ますし、将来、展示内容の刷新などにより内部の状況が変化した場合に、元の状態と比較できて非常に役立つからです。

実際に天守閣の復旧現場で、工事を担当する建設会社の人は図面等のデータが入ったタブレットを見ながら打ち合わせをすることがよくあります。NavVisはタブレットやスマホでも閲覧できますよね。だから現場にいる人とWeb会議のようにリモートでNavVisの3Dパノラマデータを見ながらやりとりできるようになれば、意思疎通がスムーズに出来ますし、現場への移動時間の削減にもなるので、なおのこと便利だと思います。

今後は、熊本城の復旧のためだけではなく、熊本県内や国の重要文化財もNavVisを使って撮影し、復旧履歴を積み重ねることができれば、今後のメンテナンス管理が効率化し、長寿命化や費用削減にもつながるのではないかと思います。





取材日:2020年8月

熊本城総合事務所について
所在地:熊本市中央区

この事例に関するお問い合わせ

住環境マーケティング部

TEL:03-5342-1002

E-Mail: navvis@kke.co.jp

Web: https://www.navvis.kke.co.jp/


この事例で使われているソリューション
NavVis









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