技術設計施工一貫BIM システム共同開発事例
株式会社長谷工コーポレーション 様

株式会社長谷工コーポレーション様

(左から)エンジニアリング事業部 BIM推進室 室長 新屋宏政氏
設計部門エンジニアリング事業部 統括室長 堀井規男氏
エンジニアリング事業部 BIM推進室 チーフ 中野達也氏

「構造計画研究所と共同開発したBIMシステムによって、企画設計から施工図の設計作業において、約20%の作業時間が削減できました」

首都圏と関西圏でのマンション開発を中心とした総合建設業の会社である株式会社長谷工コーポレーション。同社では2010年度よりBIMの導入を開始し、BIMを中該とした全社的な業務プロセス改革を実施している。構造計画研究所と共に共同開発したBIMシステム「H-CueB」について、その開発経緯と効果を堀井規男氏、新屋宏政氏、中野達也氏にうかがった。

もくじ
  1. 1. 運用課題を解決したAutodesk Revitアドオンツール「H-CueB」
  2. 2. 企画設計から施工図の設計作業において作業時間が約20%削減
  3. 3. 高い生産性効率の実現と高品質なマンション設計を目指して

運用課題を解決したAutodesk Revitアドオンツール「H-CueB」

― 「H-CueB」の開発経緯について教えてください

当社では2012年よりAutodesk Revit(以下Revit)をメインツールとしたBIMを中心に業務改革を推進し設計施工の業務改革を実施してきました。

しかしながら、BIM設計を実施した場合の人工(にんく)は、2次元CADをベースとした従来の設計手法と比較して、約3倍以上でした。2次元CADベースの設計人工に辿り着くことは難しく、また、BIMデータの精度や容量の増加などといった設計品質、設計効率も問題に上がっていました。

3年程の試行を経ましたが、やはり当社だけでは業務改善に限界があります。そこで、2016年より構造計画研究所と一緒になって、課題の整理から状況の洗い出しまで行い、下記3つの開発コンセプトを踏まえたグランドデザインを検討しました。


3つの開発コンセプト

また、課題解決に向けた方針として、今まで培った設計ルールやノウハウのツール化、及びモデルや図面の作成・変更操作の支援を最重要課題として捉え、運用方法の改善とツール開発を行いました。この成果が構造計画研究所と共同開発したRevitアドオンツール「H-CueB」(HASEKO Design&Construction utility of enhanced BIM)です。

「H-CueB」は長谷工版BIMのワークフローに合わせてBIM作業を自動化するツール群です。単なるアシストツールではなく、長谷工版BIMのワークフローの概念をRevitに組み込んだ仕組みを実現しています。データ軽量化と同時に外部自動化プログラムを工夫し、Revitによる作業の効率化と精度向上を可能にしました。




企画設計から施工図の設計作業において作業時間が約20%削減

― 「H-CueB」の運用効果について教えてください

「H-CueB」の効果は絶大でした。設計作業の工数の観点から、ツール化による効果を既存業務と比較して試算した結果、企画設計から施工図の設計作業において、約20% の時間が削減できました。建物のモデリング作業時間や図面などの成果物作成時間、設計の変更に関わる作業時間が短縮され、生産効率が向上しました。さらに はシステムデータ全体を見直し、余分な情報を削いで全体最適化することで、データの軽量化も進みました。

ヒューマンエラーも減り、設計品質の向上による手戻り低減と共に精度向上も実現しています。設計品質向上のためのチェック機能を設けたり、この他にもファミリ* 再検討による図面表現及び軽量化、また施工段階でのBIM 活用も実施しています。

*Revit 上で追加する要素(壁、屋根、窓など)の総称


導入前後の平均設計工数比較

― 「H-CueB」の主要機能と開発にあたり工夫したエピソードがあれば教えてください

Revit 標準機能だけでは難しいモデリング作業の効率化を目指して、「H-CueB」ではファミリ検索やファミリ配置、パラメータ表示機能を実現しました。また、BIM モデルの精度や作業進捗を確認するためのツールも用意しています。

他にも、企画設計においては、マンションの配棟と事業収支計画が成り立つかという観点からのボリューム検討(どの程度の大きさの建物が建てられるか)が主目的となるため、企画モデル(マスモデル)と面積計算がリアルタイムに連動する企画ツールを開発しました。

更に、意匠-構造担当者間の設計内容に関する伝達力も向上させました。具体的には、Revitモデルに反映するための構造部材情報(構造データ)は一元管理できるようにしています。また、この構造部材情報のシステムとRevitで同じデータフォーマットを利用することで、部材リストとモデルの整合性を保っています。





高い生産性効率の実現と高品質なマンション設計を目指して

― 今後の展開と当社に期待することをお聞かせください。

現在、当社ではツール開発のほかにもさまざまな業務革新が進んでいます。例えば、BIMに最適化したワークフローへ移行するため、設計段階から施工情報を盛り込み、設計図と施工図を合わせた統合図を採用しました。

また、住設機器や内・外装部材のメーカー各社の協力を得ながら、情報化生産への取り組みも推進中です。

こうした取り組みと共に、2019年度にはマンション全案件にBIMを適用し、確実に生産性向上の成果を上げていきたいと考えています。私たちにとってBIM化は、高い生産効率を実現し、高品質なマンションを設計施工するための手段なのです。

これから、ソフト開発だけでなくロボットによる施工の自動化やICT施工といった面でも、構造計画研究所と連携できると面白いですね。ソフト開発も自動設計やAI 活用に向けて、共に歩を進めていきたいと思います。今後も新しい提案を期待しております。



導入前後の平均設計工数比較




取材日:2018年10月

株式会社長谷工コーポレーションについて
創業:昭和12年2月
本社所在地:東京都港区芝
ホームページ:www.haseko.co.jp/ 別ウインドウが開きます

この事例に関するお問い合わせ

住環境営業部

TEL:03-5342-1002

E-Mail: bim-jkk@kke.co.jp


この事例で使われているソリューション
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