多目標問題解決の理論と実例

著者名 ラルフ・L・キニー、ハワード・ライファー(共著) / 高原康彦、高橋亮 一、中野一夫(訳)
定価 9,500円
発売元 企画センター
刊行日 1980.07.01

概要

この本の特徴は、3つに要約できる。

第一は安心できる本である。著者のライファー教授は、IIASA(国際応用システム分析研究所)の初代所長を勤めた人で、意思決定論では第一人者と世界的に認められている。また本書の完成には6年をかけているが、それだけに内容的には完成度が高く、理論的には参考分献の調査がいきとどき、実用的には理論の解釈が深く丁寧であり、永く参考文献として残る本である。

第二は、対象のユニークさである。意思決定あるいは政策決定を合理的に行おうとする試み、すなわち決定分析には、ある意思決定がどのような結果をもたらすかの分析と、その結果をどのように評価するかを考察する選好分析があるが、後者は意思決定者の主観と関係するせいか前者に比しあまり研究が行われていない。この本は選好分析を真正面から取扱い、決定分析に論理的筋道を与えた数少ない本である。

第三は、理論と実際の統合を強調した本である。どの研究者も理論と実際の統合は考えるのであるが、それの困難さから現実の分析(記述的方法)が理論的考察(規範的方法)に偏りがちである。本書はこれらの中間として、処方せん的方法を強調している。これの実現は結局著者の力量と環境によるが、著者らは力量の上にハーバード大学、M.I.Tという理論的環境、上記の国際研究所という応用的環境にも恵まれている。たぶん選好分析を勉強するにはこの本1冊で十分であろう。

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