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トップインタビュー

代表取締役CEO写真 Innovating for a Wise Future

■第58期を振り返って

 全般的に良好な市場環境が続き、当社の営業状況も順調に推移した1年間でした。特に建築関連の仕事が好調で、大手住宅メーカー向けの構造設計支援システムや防災関連ビジネスなどがエンジニアリングコンサルティングの増収を牽引しました。またプロダクツサービスも、概ね計画通りの売上を確保しました。
 利益面では、エンジニアリングコンサルティングにおける高付加価値案件の増加により収益性が改善しました。私たちが提供する、専門性の上に成り立ったIT活用に対し、お客様の評価が高まっていると感じています。
 結果として第58期は、各利益段階において4期連続の拡大を果たすことができました。特に、当期純利益は過去最高となりました。
 これらの成果につながった取り組みと並行して、当社はこの1年、将来の成長に向けて経営資源を積極投入し、多くの布石を打ってきました。その新たな動きの中で、特に注力しているのがIoT(Internet of Things=モノのインターネット)関連ビジネスです。海外のパートナー企業のIoT関連製品・技術を日本に持ち込み、新年度から本格展開していくための体制を整えました。
 一口にIoT関連といっても広い領域にわたりますが、当社は建物に的を絞り、ドイツVitracom社の提供する人の動きを可視化して分析を可能にするマーケティング高度化ソリューション「ピープルカウンター」、ドイツNavVis社の提供する次世代屋内デジタル化プラットフォーム「NavVis」、米国LOCKSTATE社の提供するスマートロックシステム「リモートロック」の3つを効果的に組み合わせながら展開していきます。
 その他の動きとしては、ベンチャー企業が持つ新しい技術シーズを探り、当社の技術や経験との組み合わせによる事業の可能性を求めるべく、2つのベンチャーファンド(「けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合」、「MICイノベーション4号投資事業有限責任組合」)への出資も継続しております。また2016年2月には、東京大学生産技術研究所との社会連携研究部門を設置し、社会における複雑問題の解決に向けた産学共同研究を開始しました。また3月には、日本郵船グループ、株式会社ウェザーニューズと共同で、海運・物流分野の次世代ソリューション提供に向け共同開発を行うべく、SymphonyCreative Solutions Pte.Ltd.をシンガポールに設立することで合意し、初期プロダクトについては7月から初期ユーザへの導入試験を実施中です。今後も継続して初期プロダクトの機能拡充を図りながら導入展開を進めると同時に、新規プロダクトの企画開発を進めていく所存です。

■2016年4月に発生した熊本地震について

 2016年4月に発生した熊本地震により被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。当社拠点の熊本構造計画研究所におきましては、幸いにして従業員への人的被害および建物・設備の損壊等を免れました。
 当社は、創業翌年の1960年に竣工した熊本城の天守閣再建計画に携わり、1984年からは熊本県大津町に拠点を構え、長きにわたり同地との地縁を育んできました。その熊本において、今回の地震により史跡・重要文化財に甚大な被害が及んだことを受け、熊本県教育庁「熊本文化財復興支援金」に1億円を寄付させていただきました。
 この支援を通じた取り組みが先々花開くことを期待し、引き続き専門的技術エンジニアリングの側面から、熊本の復旧・復興に真摯に関わりたいと考えています。

■中長期的な展望と今後の成長戦略について

 足もとでは好環境が続いていますが、中長期的に見ると、エンジニアリングというのは国内市場だけでは停滞していくと思います。特に建設業関連の国内需要は、2020年のオリンピック開催以降は減少していくでしょう。私たちは、日本で培ったエンジニアリング技術を活かし、海外で事業展開していかなければ、将来の成長は見込めません。
 そのため当社は近年、人材の海外採用を進めており、グローバルな活躍に向けた育成に注力しています。また2015年7月には、ASEAN地域のマーケティング・リサーチ拠点として、シンガポールに現地法人を設立しました。
 一方、構造物から自然・環境へ、さらに社会・企業・コミュニティへと、当社の事業領域を拡大していく取り組みも、中長期的な成長に欠かせません。さまざまな機会を捉え、多くのパートナー企業との連携を深め、ネットワークを拡げながら、成功件数を積み上げていきます。
 中長期的な成長を実現していく上で、当社が重視する経営指標は、営業利益に人件費とフリンジベネフィット(給与以外に従業員が受け取る利益)を加えた「総付加価値」です。「総付加価値」を重視しているのは、当社の付加価値の源泉が人材であることから、今後もより良い人材を確保し育成していくことこそが、当社を持続的に発展させていくために必要だと考えているからです。第58期の総付加価値額は、過去最高の66.4億円となり、前事業年度と比較して3億4百万円増加しました。今後も年間5%程度の付加価値成長を目標とします。
 この総付加価値を高めるための重点戦略として、当社は「提供するサービスや製品の品質確保」「人材の育成」「新規事業開発投資と海外へのDesign & Engineering展開」「知財戦略」の4つを推進しています。
 サービス・製品の品質確保は、従来から当社が高いこだわりを持っている部分ですが、各お客様に合わせて品質を追求する、より高いレベルでの期待に応えていきます。人材育成については、前述の海外採用や従業員満足の向上も含め、価値創出の源泉となる人物育成に全社視点で取り組みます。そして、新規事業と海外展開への積極的な投資とネットワーク構築を進めつつ、顧客業界全体とその先の消費者を価値提供の対象として捉え、当社が持つ知的財産を広く社会への貢献につなげていきます。

■株主の皆さまへのメッセージ

 第59期の営業状況は、引き続き建築関連を中心に好調が予想され、また期首の繰越受注高も、第58期を5億円上回る51億円を確保していることから、売上高と各利益においてそれぞれ拡大を見込んでいます。2016年8月には福岡支社を設置し、IoT関連のターゲットを含むテストマーケティングを行っていきます。
 株主の皆様への利益還元については、当社株式を中長期で保有していただけるよう、安定配当の維持を基本に、業績拡大に伴う連続増配を目指しています。今回の期末配当については、1株当たり40円を実施し、中間配当の15円と合わせて、年間配当額を55円(前期比15円増配)といたしました。今後は、財務体質の改善と適切な内部留保を行いつつ、収益や事業投資の状況を総合的に勘案しながら、特に中長期保有の株主の皆様への利益還元を重視し、第59期第1四半期より四半期配当制度を導入します。

 私たちは、ソート(Thought)として掲げる「Innovating for a Wise Future」のもと、工学知をベースにした有益な技術を社会に普及させ、より賢慮にみちた未来社会の創出を目指します。既存市場の中ではなく、新たな市場を生み出すところでのチャレンジですので、先行き不透明な部分もありますが、短期的な利に趨ることなく、緊張感を持って着実に前進してまいります。株主の皆様には、ソートの実現に向けて今後とも一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

2016年9月吉日

代表取締役社長 服部 正太 Shota Hattori

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